第二章――――銃声

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「お前は耳が良かったな。今から流す部分の音を、よく聞いていてくれ」  神楽はレコーダーのボタンを押して、天城が残した留守電の音声を途中から再生する。 『ふざけやがって……! ぶっ殺すぞっ!!』 『ひ……や、やめろ! そんなもの向けるんじゃない!』  ――破裂音。  神楽は再生を停止して、ナツメに問いかけた。 「お前ならわかるだろう。今の銃声……コルト・ガバメントのものか?」 「……いや、違うね。ガバの音はそんなに軽くないよ。今の音はもっと小さい銃のものだ。たぶん……32……いや、25口径か、22口径ってとこじゃないかな。銃の形状にもよるから断言はできないけどさ。まぁ少なくともガバの音じゃないってのは、確かだね」 「ふっ……充分だ」  神楽は満足気に頷くと、今度はイズミへ向かって言う。 「イズミ。今夜のテスカトリポカとの取引、私が出よう」
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