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――夜十時。夕桜南区の埠頭沿いにある、『亀山板金』という看板がかかったまま放置されている廃工場。
その中に、四人の人影があった。
神楽とアキカワ、そして今到着したばかりの、二人のコロンビア人。テスカトリポカ側の代表だ。
「――おや? 事前の話じゃあ、そっち側で取引に参加するのは男が二人だと聞いていたんだがね」
丸眼鏡に長髪の男が言った。流暢な日本語である。
「失礼」
神楽が応えた。
「当初ここへ来る予定だった二人はやむにやまれぬ事情で欠席している。私たちはその代理で来た」
「ふーん……まぁ、いっか。人数には変わりないしね」
「貴殿がパブロ殿でよろしいか?」
「ああ、そうだよ」
パブロは面倒くさそうに返事をした。コロンビアマフィアの幹部であり、下部組織テスカトリポカのリーダーを務める男。裏社会のベテランといった風格で、眼鏡の奥には鋭い目つきが光る。
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