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「私は伏王会の――」
神楽が名乗ろうとしたのを、パブロは手を振って遮った。
「あー、いいっていいって。君らの名前なんか興味ないの。さっさと取引の話をしようよ。ねぇ?」
神楽は肩をすくめて笑う。
「……いいだろう。たしかに名前などどうでもいい」
パブロはジャケットのポケットから車の鍵を取りだして、小さく振って見せた。
「注文の品は外に停めてあるワゴン車の中に積んである。三千万と車のキーの交換ということで、オーケー?」
「ああ。だが取引を行う前に……パブロ殿と話がしたいのだが」
「あ? 俺と? ……なにかな?」
「他の者には聞かれたくないので、二人きりで話がしたい。おそらく、パブロ殿にとっても悪くない話のはずだ。いや、聞かなければ後で後悔する……そう言ってもいい」
パブロは少し考えてから答えた。
「……二人きりで、ねぇ。まぁ、銃の携帯さえ許してくれるならいいけど?」
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