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パブロは伏王会の女がそうしたのと同じように、連れてきた仲間を一度工場の外へと出した。工場の中には、パブロと女だけが残る。
……この女、なんのつもりだ?
俺と二人きりで話したいなどと……まさか、あのことに気づかれたか? いや……もしそうだとしたら、ここへのこのこと現れはしないだろう。
敵が他に隠れていて、一人になったところで襲わせようとしている? いや、それはない。小さく、物も殆ど置かれていない廃工場だ。隠れられるような場所はない。予めここを下見したときにもそれは確認済みだ。
それに、伏王会の人間は二人しか工場の中に入っていかなかった。後から工場の中に入ったのはパブロたちのほうだが、実際は伏王会の二人よりも先に到着していて、隠れつつ外から様子を窺っていたのだ。相手に不審な動きがないかどうかを、確かめておくために。結果、伏王会側にそういった動きは見られなかった。……かといって、まだ気を抜くわけにはいかない。
「ではこちらへ……」
女は工場内の中央に置かれたテーブルへパブロを促した。二人で使うには幅の広いテーブルで、両サイドにパイプ椅子が一脚ずつ置かれてある。
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