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パブロはテーブルの上でゆっくりと手を組んだ。
「それで……お話とはなにかな?」
向かいに座る女は、上着のポケットから写真の束を取り出すと、そのうちの二枚をこちらへ滑らせるように渡してきた。
写真はそれぞれ別の男の顔を正面から写したものだ。パブロはそれを手に取り、
「……これは?」
「ここへ来る予定だった二人だ。名前は、天城と秋水という」
「ふーん……この二人がどうかしたのかな?」
「…………くくっ」
女は顔を下に向け、急に笑った。しかしすぐに顔を上げると、不敵な笑みでパブロを睨みつけて言う。
「とぼけるなよ、ハム役者が」
「……なんだって?」
「下手くそな演技をやめろと言っているんだよ」
女は頬杖をつくと、刺し貫くような冷たい視線でパブロを見据える。
「とっくに知っているんだ……貴様がそいつらの死に関わっているということは」
やはり、この女……。しかし、判断を早まっては駄目だ。相手がどこまで掴んでいるかを探る必要がある。手を打つのは、それを知ってからでも遅くはあるまい。
パブロはおおげさに両手を広げて、しらを切った。
「悪いが、何のことだかさっぱりだな」
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