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「だけど不思議じゃないか。どうして天城はそんなことをした? それに秋水を殺したのが天城なら、その天城を殺したのは誰だ?」
「天城に偽りの計画を授けた第三者がいるのさ。天城は本来、秋水に殺されたふりをしてそのまま行方を眩ませる予定だったのだろう。天城の死体は秋水が隠したということにすればいい。青鷺への電話があれば、死体が見つからずとも天城の死を疑うものはいない――計画の立案者は天城にそう信じ込ませた。もちろん秋水は殺し、死体は隠して行方不明ということにする。天城を殺した後、逃亡したかのように見せかけるためだ。そして、取引に使う予定だった三千万は天城が持ち去る――これがおそらく、当人に説明されていた計画。しかしその計画には裏があった。その第三者は天城に秋水を殺させ、その痕跡を片付けたら今度は秋水の所持していたコルトで天城を殺害した。初めから天城の死は予定されていたことだったんだ。――では、なぜ天城は殺されたか?」
女は右手で指を弾いて鳴らす。そして、不気味なほどにっこりとパブロへ笑いかけた。その笑みに、パブロは僅かに怖気のようなものを感じる。
「貴様らテスカトリポカは、天城と通じていた。その繋がりを我々伏王会に気づかれぬうちに、接点を前もって処分したんだ。……そうだろう?」
「…………」
パブロはただ黙って睨み返す。女は相手を追い詰めるのを楽しむかのように、続行した。
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