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「ナツメちゃん若いよね。何歳なの?」
「十六です」
「へぇ、じゅうろ……十六ッ!?」
ナツメは口の前で人差し指を立てて笑う。
「うふふ、秘密ですよ? お店にバレたら色々面倒なんで……ね?」
「お……オーケーオーケー。俺、口は堅いから安心して」
長髪はどぎまぎしつつナツメへ背を向けた。ナツメが玄関で靴を脱ぐのを待ちつつ、照れを誤魔化すように首筋を掻く。
「いやぁ、でもナツメちゃんすごくかわいいから緊張しちゃうな」
「えへへ。私、そんなにかわいいですか?」
「かわいいかわいい! あとは胸が大きかったら完璧……なんつって」
「胸が……」
背後でナツメのしゅんとした声がした。長髪は慌てて取り繕おうとする。
「ああいや、冗談! じょーだんだよ! 気にすることないって、きっとナツメちゃんもこれから大きく――あがっ」
男がナツメのほうへ振り向くのと同時に、彼の口へ、黒くて硬い何かが突っ込まれた。男は一瞬何が起こったかわからなかったが、すぐにそれが何なのかを理解する。
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