ぷろろーぐ あの日の私 『8月31日』

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カランコロンとドアのベルが店内を響かせる。ピカピカのカウンター、 明るく店内を包む照明、そこに居るのは着慣れたエプロンを身にまとった私。 「いらっしゃいませ!喫茶ゆーれーへようこそ!」 満面の笑みでお客さんを迎え入れる。 遂に念願の夢である喫茶店のマスターになれた瞬間だ。 私、「夏芽 ひなた(ナツメ ヒナタ)」は10歳の頃からこの職に就こうと考えていた。 親が喫茶店のオーナーだったわけでもないし、 バイトから正社員になったわけでもない。 これは私の夢だ。だから、私は今ここに居る。 「おう、ひなちゃん! やっぱ俺が最初の客だと思ったろ」 その最初に来た男性とは10年前の付き合いだ。 「そう思ってました、あの時の約束しっかりと守ってくれましたね!」 あの時の約束。遠くの彼女とも交わした約束を、やっと叶えることができた。
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