ぷろろーぐ あの日の私 『8月31日』

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「あれから12年だったか?  ひなたちゃんもこんなに美人さんになってなぁ……  オッサン、感激しちゃうよ」 涙ぐみながらも男性がカウンター席に座る。 「や、やめてくださいよ!  そんなに美人じゃないです、私!!」 ついつい顔が熱くなってしまう。 まるで、伯父と喋っているような気分だ。 「いや、12年経つと誰だって美人になるもんだ  自信持て! な?」 「そ、そうしますね。  ちょっと、話は変わりますけど、もう12年も前の話ですよね。  『ゆーれーさん』との思い出の夏から」 小っ恥ずかしいので、無理やり話題を反らそうとする。 私は所詮、中の中みたいな存在だと思う。 だからこそ、お世辞といえど恥ずかしいのだ。 「あぁ、あれからもそうだよなぁ  元気してるかねぇ、幽霊の姉ちゃん」 そんな、ありきたりな作戦が思った以上に上手くいったようだ。
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