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「あれから12年だったか?
ひなたちゃんもこんなに美人さんになってなぁ……
オッサン、感激しちゃうよ」
涙ぐみながらも男性がカウンター席に座る。
「や、やめてくださいよ!
そんなに美人じゃないです、私!!」
ついつい顔が熱くなってしまう。
まるで、伯父と喋っているような気分だ。
「いや、12年経つと誰だって美人になるもんだ
自信持て! な?」
「そ、そうしますね。
ちょっと、話は変わりますけど、もう12年も前の話ですよね。
『ゆーれーさん』との思い出の夏から」
小っ恥ずかしいので、無理やり話題を反らそうとする。
私は所詮、中の中みたいな存在だと思う。
だからこそ、お世辞といえど恥ずかしいのだ。
「あぁ、あれからもそうだよなぁ
元気してるかねぇ、幽霊の姉ちゃん」
そんな、ありきたりな作戦が思った以上に上手くいったようだ。
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