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ルルーイのリードをしっかりと握り、私達は夏空の元へ歩みだした。
見慣れた住宅街、見慣れた田んぼ道。
ごくごく普通の田舎町を悠々自適に散歩する。
私は、そんなのんびりとした時間が、この頃から大好きだった。
「やあ、ひなたちゃん! 今日も散歩かい?」
「え~! マジ!? あの森の廃墟に幽霊が出るって!?」
「へい、らっしゃい! うちの野菜はいつでも安いし無農薬で安全だよ!!」
「最近ここらで空き巣が横行してましてですな…… 奥さんもお気をつけて」
さらに言うと、このように小さな田舎町に溢れる声たちも大好きだ。
皆が毎日色んなことを話している。
その話の一つ一つが鍵っ子暮らしだった私には魅力的だった。
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