絶望の島と不憫な騎士

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「最初から結界を作り直すのには時間がかかるから、面倒くさい。それに、あの結界石のあの小ささではな」 「死霊がここに来るまでに結界の作り直しは……」 「出来ると思っているならお前は、どアホだな」 「そこをなんとか」 「ふむ」  ソロモンが無表情で微かに首を傾げる。 「まず、何をどうするにしろ褒美は必要だぞ」 「新しい手袋とおいしいアップルパイが手に入るだろう」 「それはどちらもオレの当然の権利だ。ケチくさいトリスタンは古い手袋を補修して使わせようとするだろうがオレは新しくてふかふかのがいい。アップルパイじゃなくオレはタヌキがたんとがいいし、絶対に白いクリームはたっぷり添えられていなければならない。が、それはどちらも褒美ではないぞ。この城で民を守るオレの日常だ。毛刈りしたヒツジの毛の一番いい部分はオレの為に使われなければいけないし、収穫されたリンゴはオレのおやつになる。絶対的権威というのはそういうものだろう」  青い目が俺をじっと見て、ほんの少し笑いを帯びる。どきどきと心臓が早くなって、悪い予感に喉がきゅうっとしまる。
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