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「いいから! 誰にちゅうしたか言えよ!」
また揺さぶると、無表情のままでソロモンがガクガクと揺れた。
「よかろう。会わせてやる」
「えっ」
ゆすぶる手を止めて、ぽかんとソロモンを見る。
本当に浮気してやがったのかこのやろう! むいーんと頬が膨らむのを感じた。
もう本気で怒ったぞ! ソロモンをぶん投げようとした瞬間、すうっと持ち上がった手が俺の髪を撫でて、前髪をすいた。
「っ……っつ」
離れていく指先に俺の金色の髪が光る。ソロモンがその髪の毛を指先で持つと、ふうっと息を吹きかけた。指先が光って空間に魔法陣を描く。俺にはわからない古代の呪文がその口から唱えられて、ぐるぐると回りだした魔法陣が光った。
魔法陣のあった場所に、何かが浮かびあがる。くるくると回る……それは、人の首だった。
金色の髪に、鮮やかな緑の瞳……すっごく見覚えのあるわんこ顔。
えっと、えっと、これは……
「俺?」
「トリスタンくん1号だ」
ぎゃあって声をあげて、ソロモンを抱きかかえて壁際に縮こまる。
「死霊、死霊、俺の、いや? ゾンビ? 俺、ゾンビになった?」
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