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学校で同期だっただけの間柄なんだが……そもそも、ソロモンが難しすぎるやつなんだ。なまじっか顔がいいだけに誤解されやすい。にこにこ鷹揚にしていればいいものを、人形みたいに固まったような顔しやがって、口が酷く悪い。毒舌も真っ青な口汚さなんだ。しかも、気分が超絶悪い時にだけは艶やかに微笑む。
これがまた、万人をたらしこむ綺麗さで、始末に負えないっていうか。
でも、かろうじて俺の言うことだけは聞くし、いやそれでもかなり無視されるんだけど、惨劇は避けているというか……だから、俺が守護騎士になってしぶしぶ始末してるんだけどな。
ああ、畑仕事だけして暮らしたい。
「凄い勢いで、微笑んでいたぞ!」
ふぁっ?
今日の一日を思い出す。今日の採掘は東のダンジョンの浅い階で、この間見つかったばかりの鉱脈の本堀だったはず。浅い階だってこともあって、死霊はいないはずだし、ゾンビは昨日駆逐して……だから俺は久しぶりに一日畑を弄れることになって……
「北の城壁にすぐ来いって」
北?
北はやばいぞ、いろいろやばい。北でソロモンが笑っているんだとしたら、そりゃもう悪い予感しかしない。北には死霊の王の住処があって、人は近づけない。結界を貼って、この城塞の中に入って来ないようにするのが精いっぱいなんだ。
俺は北の城壁を目指して猛ダッシュをはじめた。
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