絶望の島と不憫な騎士

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 その後ろ脚が地面をひっかいている。土にまみれでゴロゴロと転がっていく水晶。  ……水晶、デスカ。 「封印の石が、動いて……」 「動いているな。くそが」  バタバタと階段を登る音が響いて、西門の門番がひいひいと荒い息を吐きながらこちらに向かって来る。 「に、にしがわで、草を、食んでいた、家畜ども、が、破れた、柵から、草の多い、北に入って……」 「デブが。聞くに耐えん」  ぼそっと呟くソロモンを無視して、西の門番に声をかける。 「ヒツジ飼いはどうした。何故、馬までいるんだ。馬丁はどこにいる?」  剣呑な雰囲気を漂わせているソロモンにびくつきながら、門番が呟く。 「あいつら、サイコロで、夢中に……」 「くそ、門番も気がつかなかったのか!」 「あの、その……昨日はちょっと、その……」 「賭け事好きなサルどもに、ブタの居眠りとは傑作だな」  ソロモンが能面のような顔で毒を吐く。ああ、傑作すぎて涙が出そうだ。 「まず、ヒツジ飼いどもにヒツジを回収させろ。馬丁にも連絡するんだ」
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