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「はあ? あんたの子やし! 何よ! 重いって! 無責任やし!」
目の前で、この前展理の事を悪く言った女が店で大声で喋っていた。
20代前半の若い男。出ないパチンコ台と隣で喚く女にイライラしていた。
「うっせえって。知るか。俺まだ、就職したばっかだぜ? 結婚とか考えてねえって言ったろ」
「だけんって、何? 慰謝料やるから堕ろせって!」
「産んだって育てらんねだろ? お前だって、専門入ったばっかだろ!」
男はイラつきのあまり、パチンコ台の下の台を拳で打った。
もうちょっと強い感じで打つか、パチンコ台事体を叩いてくれたら、摘まみ出すのにな。
周囲に客がちらほら、その客も幸い居なきゃ、尚早く摘まみ出せたのに。
俺は、退場のタイミングを測るべく、近過ぎず遠すぎない距離を取っていた。
「ゆうやん。あれ、1丁目の子やない?」
「知らんですけど、見かけはしますね、たまに歩いとうですね」
馴染みの客が声を掛けて来て、併行で世間話を始めた。
「確か、高校中退して、美容師の専門学校行きようっちゃなかったっけ」
どうりで頭髪が奇抜だと思った。
ミルクティーみたいな色をしているから。
「また、産んでから入ったら良くない?」
「金持ちはこれだからな。お前のそういう所が信用出来ねえんだよ!」
「うっさいし、私が好かんなら、なんで付き合ったとよ」
「お前がしつこいからだろ!」
玉が切れたのを合図に男は立ち上がり店を出て行った。
女もそれを追う様に店を出て行く。
「ゆうやんのぶち切れるとこ見逃したな」
「やめて下さいよ。俺、平和主義者ですから」
内心、変な面倒毎に首を突っ込まずに済んだ事にホッと胸を撫で下ろした自分がいた。
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