第一話 出会い

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気が付けば、家を出ていた。 何も持たず、ただ、財布の中の金だけを頼りに、遠い街を彷徨った。 俺は死に場所を探していた。 「ごめん、君、暇?」 ホームレス生活3日目、辿り着いた街の空き地で佇む俺に、スラリとした50絡みの男が声を掛けて来た。 「君、ここで何をしているの?」 「……休んでただけ。大きな水溜まりだな……。って思って」 「はは。そうだね。大きい水溜りだね。もう1ヵ月になるんだよ。 アメンボも泳いでるし。 オタマジャクシはカエルになるし、本当どうなっているんだろうね。此処は」 初老の男はYシャツにベストを着こみ、耳にイヤホンを付けていた。 最初はお洒落なおっさんかと思ったが、よく見るとパチンコ屋の従業員服だった。 「色々あって、今人手不足なんだ。君、まだ若いだろう? 店舗の上は寮なんだ。今日から家で働かない?」 勿論最初は断ったが、結局、最後は働いていた。 一族経営の小さな店で、副業でマンションやテナント収入もある裕福な家の主人だった。 俺を拾ったおっさんは。
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