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第二話 猫を愛す君
仕事の休憩で大通りのコンビニを目指していた。
「何で、止まんないのよ!」
制服を来た女子高生が、ぐったりとした子猫を抱いて泣きじゃくっていた。
「うっせえ、見えなかったんだっつぅの!」
「見えてたでしょっ! わざとだ!」
黒塗りのセダン系の車に乗った若者は、煩わしそうに車のボンネット前で座り込んでいる女の子の肩を掴んだ。
「知らねえって。 どけよ。邪魔だって」
肩を掴まれ、僅かに立ち上がる女の子の膝は擦りむけ、よく見ると額に血が滲んでいた。
「飛び出して来るんじゃねえよ。 あぁ、車に血、ついてんだろ。 お前が悪いんだからな」
そう言って、男は女の子を道の脇に突き飛ばして、腰に蹴りを入れ、車に乗り込もうとした。
俺はいつの間にかその男に掴みかかって、思いっきり殴り飛ばしていた。
「いってぇえ!!」
「ちょっと、何すんのよ!」
車の助手席には、男の恋人らしき茶髪の女が乗っていた。
「車で当たったんなら、事故だろうが! 逃げてんじゃねえ!」
俺はそいつを警察に突き出そうとしたが、俺の言葉にいきなり慌てだし、あっという間に逃げ去ってしまった。
目撃者多数で、後日、ひき逃げで男は逮捕されたが、女の子が助けようとした子猫は、その時まだ息があったが、数日後、女の子の看病虚しくこの世を去ったと聞いた。
おれはその日、人生できっと最後になるであろう恋をした。
名前は展理(てんり)。
道木 展理(みちき てんり)。
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