Black House

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何故、こんな時間に駅前を歩いているのだろうか。他の人に会うのは面倒なはずなのに。 でも無性に散歩をしたくなったから、こうして出てきた。 『あなたも屋敷に住民として参加してみませんか?』 そう書かれた募集の貼り紙が目に入り立ち止まった。 駅の真ん前、先日、閉店したケーキ屋の所に貼り紙されていた。 誰が行くであろう、その屋敷。でも興味がわいた。最近、引きこもり気味の自分。 ちなみに、十六歳。高校一年生。 半年前から高校を休んでいる。ある日、過呼吸になって、そこから崩れていった。 心療内科の病院に行くと、うつ病だと言われた。 そうは言っても、もう外にも出られるし、冬休みが終わってから復帰の予定だ。 地元の友達とも普通に遊べる。 原因は、勉強と部活の両立がうまくいかなかったから。そして、自分が手に負えない事を溜め込んでしまったから。なんでも一人でやろうとしたから。それだけでこんな事になるなんて最悪だ。 というか、自分の弱さを受け入れるしかない。 実は中学の時にもあった。 原因は同じような感じ。でも、ちょっと違う。まあそれも今となれば、昔の話だが。 私はもう一度、その貼り紙を見た。対象は高校生。冬休み中にある。 親はなんと言うだろうか。 『Black House』 屋敷の名前。サイトもあるらしく、アドレスが書かれている。 とりあえず、登録しておくか。 そんな軽い気持ちで、携帯にアドレスを入れてる時だった。 「あれ? 香夜(かよ)じゃない」 後ろから声がした。振り向くと中学の時の先輩、二人だった。 ほら、面倒な人に会った。 自分の心が私に言う。
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