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「待ち合わせ場所って、意外に近いよね」
「というか、よく遊びに来る駅だし……」
満里の言葉に私は苦笑した。
ここはよく栄えた所。ゲームセンターもあれば、デパートもあるし、ファーストフード店も多数ある。
つまり皆の遊び場。
駅の外を出れば、大きいビルしか建っていない。
「えっと……、この改札口を通るんだよね」
○△線の改札口を通った。荷物が多すぎて、上手く通れなかったけど、それよりもどんな人達がいるのか楽しみだった。
私と満里は意外と近い駅だったが、他の人はもっと、ずっと遠い所から集まって来てるはずだ。
例えば、京都や大阪、北海道や沖縄……。色々な県から来ていれば、様々な情報を交換できるし、その話で盛り上がれる。
方言を使う人だっているかもしれない。
しかし、そんな私の思いはことごとく裏切られる事になる。
集合場所に行くと、見慣れた顔ぶれ、いや、見たくなかった顔が三つあった。
まさか……。
ただ遊びに来ただけのはずだ。何を思ってるんだ私は。
そこにいたのは中学時代の部活の部員達。
中学時代はバドミントン部だったんだけど、色々あった。
足がすくんだ。
二度と会うことはないと思っていたのに。
彼女達の隣には私と満里と同じくらいの大きさの荷物があった。
相手も私に気づき、驚いた表情を浮かべている。
間違いない。彼女達も『Black House』に当選したんだ。
「香夜、屋敷まで遠そうだし、飲み物買っとかない?」
気を利かしてくれたらしく、満里が私を引っ張る。こんな偶然なんてあるのだろうか。
嫌な記憶が蘇る。
相手もちゃんと記憶に残っているのだろう。仕方がない。
中学時代の不登校もこれが原因の一つにあった。
しかし、そうは言ってられない。もう過去の事だ。昔の記憶だ。
ここは、なんとも思ってないフリをして乗りきろう。
明るくポジティブに!
なんて言えるはずもない。そう頭で思っても心がそれを許すだろうか。心配な所だ。
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