Black House

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さすがに三回目は驚かない。 高校のクラスメート、男子八人がいた。 ちなみに、中野とは私の苗字。 「……何々? その子、中野ちゃんの友達?」 うるさい男子。相場飛翔(あいばつばさ)が、満里を見て言った。 若干、彼女は退き気味で相場を見ていた。それを見て、私はただ苦笑するしかない。 それよりも、このメンバー、偶然にしては、出来すぎている。 私が会いたくない人達の塊。意図的と考えても良い。 だけど、誰が?  主催者は何も私の事なんか知らないはずだ。しかも、私は応募してない。偶々、満里が送って、当選した。 考えすぎなのだろうか。考えてるうちに、まだ電車に乗ってないのに、酔ってきた。 手元にはコーラだけ。お茶を買っておくんだった……。 「香夜、大丈夫?」 「あ、うん」 大丈夫。治まった。少し動悸がしてどうなるかと不安になったけど、落ち着いてくれた。 タイミングよく電車が来た。 中学時代のトラウマで会いたくなかった人達。 高校で迷惑や心配を掛けているという気持ちで会いたくなかった人達。 恐らく私が高校に来なくなったのを不審がっているから会いたくなかった人達。 此処にいる全ての人を知っている私。 これからもっと、恐ろしくも不思議な現象が私達を襲ってくるなんて夢にも思っていなかった。 最高のイベントが最悪のイベントとなった瞬間。全てが始まった。 いや、始まってしまった。 電車の中では至って普通だった。 高鳴っていた鼓動も治まり、楽しく満里と話している。 ちなみに電車に乗る前に相場が言っていたが、男子たち何グループかで応募していて、偶々駅で会ったらしい。 つまり八人で応募したわけではなく、個々で応募してたということだ。 ますます意図的に感じるのは気のせいなのだろうか。 「もう本当にビックリした」 「ウチも……、まさかだよね」 数分前の嫌な記憶を笑い話に変える。 そういうのも悪くはない。そう思っていると、満里がお手洗いに行くと言って、トイレに行ってしまった。 この電車には最近トイレが設置された。 当時はかなり騒がれていたけれど、もう何処か静けさを取り戻していて、今の今まで忘れていた。
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