7人が本棚に入れています
本棚に追加
「夜の、夜のお祈りがあるんです。」
少女の必死な様子に武者は立ち止まる。
「毎月一度、真夜中にお祈りをしております。それが、本日なんです。」
武者がその言葉にを聞いて、顔をしかめる。
「それが済み次第出立する。」
武者に言われて少女は無言になる。
生まれてこのかた、村を出たことのない娘だ。
別れやいろいろ準備するものもあるだろう。
村長はそれを伝えるために武者が近づく。
しかし、それより早く村の入り口から足音がした。
そちらに視線をやれば、漆黒の鎧を纏った若武者が歩いてきた。
若武者は3人の前まで歩いてくると、少女をじっと見つめる。
そして、武者に向き合うと一言告げた。
「明日、早朝の出立とする。」
最初のコメントを投稿しよう!