第1章

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「夜の、夜のお祈りがあるんです。」 少女の必死な様子に武者は立ち止まる。 「毎月一度、真夜中にお祈りをしております。それが、本日なんです。」 武者がその言葉にを聞いて、顔をしかめる。 「それが済み次第出立する。」 武者に言われて少女は無言になる。 生まれてこのかた、村を出たことのない娘だ。 別れやいろいろ準備するものもあるだろう。 村長はそれを伝えるために武者が近づく。 しかし、それより早く村の入り口から足音がした。 そちらに視線をやれば、漆黒の鎧を纏った若武者が歩いてきた。 若武者は3人の前まで歩いてくると、少女をじっと見つめる。 そして、武者に向き合うと一言告げた。 「明日、早朝の出立とする。」
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