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そして、夜のお祈りが終わり朝を迎えた。
村の入り口には、村長と少女が立っており、昨日訪れた武者の待っていた。
少女は簡単に荷物をまとめており、手には小さな風呂敷包みが一つあった。
朝露が陽の光に照らされてキラキラ光っており、爽やかな村の朝を演出していたが、村長と少女の心は暗かった。
「村長さま、一先ず巫女の役目は見習いの子達に引き継いであります。」
沈黙に耐えられなかったのか、少女が村長に話しかける。
村長は少女をチラリとみて、そうか、と一言呟く。
視線は村の外を睨み付けている。
少女もそちらに視線をやれば。
薄靄の中に人影が一つ。
徐々に近づいてきた。
ゴクリ、と喉を鳴らして少女はその影を見ていると、人影がその姿を現した。
現れたのは武者1人。
そして、少女を見ると一つ頷く。
「では、行くぞ。」
武者に言われて少女はコクリと首を振り、村長に頭を下げる。
「村長さま、行って参ります。」
「気をつけてな。」
それが、少女が村で会話した最後の言葉になるとは、まだ誰も知らなかった。
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