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その時、村の奥がざわめき1人の老人が慌てながら走ってきた。
「これは、お武家様。どうされたのですか?」
息を切らせながらも何故こんな小さな村にやってきたのか、さっぱりわからずに尋ねた。
「お主がこの村の長か?」
「はい、この村の村長になります。」
深くお辞儀しながら、村長は恐々きく。
「この村には大したものはございません。」
そう言った村長に武者が、鼻を鳴らしながら笑う。
「大したものはない、だと?おかしいな、話を聞く限りかなり大層なものがあるらしいが。」
そう言われて村長はぎくりと身を震わす。
まさか。
その嫌な予感は当たった。
「巫女を渡せ。」
村長は顔をしかめる。
「ふん、渡したくなさそうだな。」
村長の顔を見て武者が腰にある太刀に手をやれば、村人たちは青ざめた。
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