第1章

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その時、村の奥がざわめき1人の老人が慌てながら走ってきた。 「これは、お武家様。どうされたのですか?」 息を切らせながらも何故こんな小さな村にやってきたのか、さっぱりわからずに尋ねた。 「お主がこの村の長か?」 「はい、この村の村長になります。」 深くお辞儀しながら、村長は恐々きく。 「この村には大したものはございません。」 そう言った村長に武者が、鼻を鳴らしながら笑う。 「大したものはない、だと?おかしいな、話を聞く限りかなり大層なものがあるらしいが。」 そう言われて村長はぎくりと身を震わす。 まさか。 その嫌な予感は当たった。 「巫女を渡せ。」 村長は顔をしかめる。 「ふん、渡したくなさそうだな。」 村長の顔を見て武者が腰にある太刀に手をやれば、村人たちは青ざめた。
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