愛猫

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「ね、女の子だったら『ちよこ』にしない?」 少しでてきたお腹を撫でながら妻がそう言った。 「チョコちゃんにあやかって」 メイは俺の妻になり、今妊娠5カ月だ。 若い時には大きく感じた6歳の差も大人になればさして変わらないような気がする。 まぁメイがしっかりしてるからってのは勿論あるんだろうけど。 「チョコ?」 久々に聞いたチョコの名前に俺はちょっと驚いて聞き返した。 「だってチョコちゃんがいたから私は貴方の家に通ったし チョコちゃんが死んじゃった時に貴方を好きだと気づいたの だからチョコちゃんが私達のキューピッドだと思うんだよね」 「えっ、何それ?!チョコが死んだ時って……あの、メイが小学2年の時?」 「そう。あの時、チョコちゃんが死んじゃって貴方がすごく泣いていて。 貴方の為に何かしてあげたい、貴方の力になりたいって思ったんだ。 今思えばあれはもう恋心だったと思う」 はにかみながら言うメイに小学2年生のメイが重なる。 15年前のメイ。 小さな体でずっとそばにいるとぎゅうっと抱き締めてくれた。
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