3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ね、女の子だったら『ちよこ』にしない?」
少しでてきたお腹を撫でながら妻がそう言った。
「チョコちゃんにあやかって」
メイは俺の妻になり、今妊娠5カ月だ。
若い時には大きく感じた6歳の差も大人になればさして変わらないような気がする。
まぁメイがしっかりしてるからってのは勿論あるんだろうけど。
「チョコ?」
久々に聞いたチョコの名前に俺はちょっと驚いて聞き返した。
「だってチョコちゃんがいたから私は貴方の家に通ったし
チョコちゃんが死んじゃった時に貴方を好きだと気づいたの
だからチョコちゃんが私達のキューピッドだと思うんだよね」
「えっ、何それ?!チョコが死んだ時って……あの、メイが小学2年の時?」
「そう。あの時、チョコちゃんが死んじゃって貴方がすごく泣いていて。
貴方の為に何かしてあげたい、貴方の力になりたいって思ったんだ。
今思えばあれはもう恋心だったと思う」
はにかみながら言うメイに小学2年生のメイが重なる。
15年前のメイ。
小さな体でずっとそばにいるとぎゅうっと抱き締めてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!