第1章

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目を開けるとそこには…僕がいた。 辺りを見回すと白い壁に消毒の独特の匂い。ここは病院だと脳が勝手に判断する。 でも違う…ここは病院じゃない。思い込みとは恐ろしいものだ。病院特有の匂いを脳が記憶しているせいで、それと似た状況を作れば、病院じゃないのに病院だと錯覚する。 ここはモルモットの実験室だ。 ベッドに寝かされて、たくさんの管に繋がれている僕を僕が見ている。 白衣を着た研究者達は意識のない僕の目が開いた事に驚き、ペンライトで瞳孔を確認しているようだ。 反応がないから、瞼が何らかの原因で持ち上がったと適当な事を言っている。 だけど、ベッドにいる僕は目の前の僕を見ているんだ。 その様子を僕は至近距離で見学しているんだ。 どっちも僕だ。
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