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目を開けると、そこには青年の顔があった。
私は倒れた姿勢で青年に上半身だけ起こされ抱えられている。
「キョウちゃん、大丈夫?」
青年は私の顔を覗き込み話し掛ける。キョウちゃんとは私の事なのだろうか。
「ミヤ、もうここには何もない 逃げられたみたいだ」
更にもう一人の青年が傍らで私達を見下ろす。
どこかの教室の一つのようだが随分広く、長テーブルが数卓と角にテレビが一台…
テレビ?
「うっ!」
不意の頭痛に頭を押さえた。何か頭の中に流れ込んでくる。
断片的な映像が…
数人の男達がカバンに何かを詰め込む
ニキビ面の男が何かを喋っている
リモコンを持つニキビ面の男
点るテレビの映像、何が映っているかは分からないけれど見てはいけないと警告する。
「キョウちゃんっ」
再度の呼び掛けに私は我を取り戻した。
今現在から意識を断ち、過去の記憶にアクセスしていたようだ。
よく分からない映像ばかりだったけれど何か大事な事を忘れている気がする。
「大丈夫かぁ?」
立っている青年が気の抜けた声で問い掛けるがとても大丈夫とは言えないだろう。なぜ私がこんなところに倒れ見知らぬ青年に抱えられているのか、現在の状況も何が起きているのかもさっぱり分からない。
「保健室に連れて行こう」
私を抱えているミヤと呼ばれた青年はようやく私を起立させる。
「冗談だろっ ミマリに怪我の手当てが必要か?」
「テッツン」
言い聞かせるように語尾強く訴えかけられるとテッツンと呼ばれた彼は溜め息をつく。
「あの、私一人で行けますから ご心配なく」
頭痛も消えてどこも問題はないし歩けるからと親切心で断りを入れたつもりだったが二人からは喫驚した顔を差し向けられてしまった。
「今… なんて?」
「ミヤ、報告は俺一人でいく お前はすぐにそいつを保健室へ連れていけ 重症だ」
私はまだ状況が掴めない中、ミヤと言う青年に連れられ、これから起こる壮絶なバトルへと巻き込まれていくのであった。
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