episode202 誰も見てはならぬ

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「セラピスト……どこか痛むって?」 「いえ、そのようなことは」 「まあいい。行ってみるよ」 痛むとしたら 心だろう――。 着替えをすますと裸足にスリッパを引っ掻けて 僕は階下のミストルームへ向かった。 ミストルームは天宮家の共同バスルームに 隣接して建てられたヒーリングサウナだ。 室温は30℃程度に保たれ 天井から暖かな霧が降り注ぐ。 ちんけなリゾート風にするなという 王様からのお達しで。 中はモノトーンでまとめた ニューヨーク風のラグジュアリーな造りになっている。
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