六星竜一(金田一少年の事件簿)

2/5

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/213ページ
登場作品:金田一少年の事件簿 分類:犯人 職業:高校教師のフリをした殺人マシン「七人目のミイラ」 立ち位置:異人館村殺人事件の犯人 悪人度:A カッコよさ:A 強敵度:A 存在感:B 作品貢献度:C 演:東根作寿英(ドラマ版) 未だに漫画やアニメをやっている推理漫画「金田一少年(きんだいちしょうねん)事件簿(じけんぼ)」。元々あのコナンでさえこの作品の模倣だったといわれているのだが、金田一耕助の作者の横溝正史の遺族から「勝手に金田一耕助の孫という設定を使った」と訴えられたり、トリックのパクリで訴えられたり(実は今回語る事件が訴えられた)と作風同様薄暗い(最近はそうでもないようだが)部分のある作品である。 だが、私はこの作品嫌いではない。最近のは見てないのだが、何せ犯人が魅力あるやつばかりだからだ。正直、私的には毎回犯人が何をどうしでかすか、犯人が金田一に追い詰められた際にはどう対処するかを楽しみに読んでいた。 言ってしまえば、金田一や明智よりも犯人を応援しながら読んでいたと言ってもいい。 そんな犯人達の中で私が一番好きなのが今回語る六星竜一(ろくせいりゅういち)である。 六星竜一は事件としては2作目に登場する。だが結果として8人殺害1人殺人教唆という、後の金田一のライバル高遠遙一(たかとおよういち)(ちなみに私、こいつは嫌い)に匹敵する殺害人数を誇る犯人である。 唯一残念な点は単独犯ではないという部分だが、その点すらも彼の演技力や殺人への執念、後の展開を考えるとあまり気にならない。 彼の母親、六星詩織(ろくせいしおり)は元々青森県の六角村にある教会で牧師夫婦と他の五人の孤児(みんな女性)と8人で暮らしていた。そして村には他に6つの異人館があり、その中のひとつ風見鶏の館の主の風祭と将来を誓いあっていた。 だが、この村の異人館の主と教会の牧師夫婦は不法な大麻の栽培で巨万の富を得ていたのだが、牧師夫婦がそれに反対しだし、警察沙汰になりかねない事を恐れた館の主達は牧師夫婦を射殺。加えて教会に閉じ込めた6人の娘達を教会に火を放って焼き殺してしまう。 ただ1人。詩織のみが風祭が隙を見て助けた事で生き延びるが、彼女はこの村に復讐を誓い、風祭との間に出来た息子を殺人鬼として育てた。 六星竜一は母親と極貧の生活を送る(詩織は戸籍上死んだ事になっており、ろくな仕事に就けなかった)中、毎日のように「おまえは母さんの代わりにあいつらに復讐するんだよ。おまえはあいつらを殺すために生まれてきたんだから」と言われ続け、最終的に母親の最後の仕上げとして母親を殺害。おそらくこれがトドメとなり、亡き母親の思惑通りに殺人マシンとなった。 設定だけ見ると、母親の洗脳教育・・・・・つまりは周りの大人の都合で自分の人生を歩めず、殺人マシンとしての人生だけ許された可哀想な犯人だ。だが、作中どちらかといえば六星竜一に同情的な意見はない。異常な殺人鬼としか思われていない。 殺人犯なので当然といえば当然なのだが、彼の歩んできた人生とその背景を考えれば、誰かひとりくらいは憐れんでも良さそうなものだ。 しかしやはり殺害方法が異常に残酷なうえにトリックに恋人を利用したうえで殺害したという流れから彼が名乗る通り「人の心を持たない殺人マシン」にしか映らないのだろう。上述のトリックのパクリがなかったとしても、この事件はあまりに残酷で痛々しい場面が多いのでいずれにしろアニメ化は無理だったのではないかと一部では言われているほどだ。 そして何より、やはり彼の暴れっぷりがそんな同情的な背景をも薄めてしまう。 彼の殺害方法は基本的には刺殺または絞殺し、その後に遺体を欠損(つまり一部を切断)させるという残酷なもの。なのだが、ただ残酷なだけではなく彼自身の戦闘力も非常に高く、警察官に取り囲まれかけた際にはそれらを一蹴したうえに綺麗な流れで人質をとり、猟銃を用いて最後のターゲットを殺害して逃亡するという他事件では見られないような荒業を披露した。 そもそもトリック云々というよりかは六星の凄まじい戦闘力と実行力によってこの事件は動いているようなものだったと言っていい。 犯人としてはターゲットにした人物を半ば強引に全員殺害する事に成功している事から、同情的な背景云々よりも「すごい強い犯人」の印象が強くなってしまうのである。 image=restricted_page_image.png
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加