六星竜一(金田一少年の事件簿)

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ここまでは六星竜一についてのあらすじや、キャラクターについてダラダラと書いてきたが、ここからは彼についていくつか疑問点があるので書いていく。 無粋なツッコミではあるが、そもそも戸籍のない母親が産んだ彼の名前、竜一があっさり判明したのはなぜなのだろう? 金田一は事件中に六星に疑いをもった。それは彼が若葉を退学に追い込み、故郷にて無理矢理許嫁である連城と結婚させられる事になった原因である六星と若葉の密会の写真だ。それにより小田切進が本当は偽物なのではないかと疑い、秘密裏に調査を開始する。 だがそれは金田一が六角村に訪れてから疑念を抱いたので事件中に村から本庁の剣持警部に頼んで調べさせたわけだが、そう考えるとかなりの短期間で六星竜一について調べ上げた事になる。金田一のいう「小田切進の縁者に聞いたが誰も六星竜一の顔は知らなかった」というくらいならまだわかるが、はたしてそうあっさりと六星竜一の名前や素性について調べ上げる事は可能なのだろうか? 先述したように六星詩織には戸籍がない(死んだ事になっている)ので、竜一という名前まで存在しているというのは些か疑問を感じる。 また、なぜ六星はあれほど優秀なのかというのも疑問を感じるところだ。 散々述べてきたように、彼は警察官二人をあっさり返り討ちにしている。しかも刃物だけでなく銃の扱いにまで長けており(風祭の家に飾ってあった猟銃に普通に弾が入っていたのは、六星が前もって仕込んでいたのではないか?という説がある)、トリックの為に利用した若葉は手際よく絞殺している。 息子を復讐鬼にするために詩織が鍛えたという事だが、元々ただの村娘である詩織がなぜ息子をここまで鍛え上げられたのだろう? 詩織は竜一を完璧な殺人マシンに仕立てるため、最後には自分を殺させている。まるで北斗の拳に出てくる某流派の伝承試験のようである。一体、彼女は何者なのだろうか。 六星竜一は高校教師を殺し、その高校教師に成り代わっている。作中においてはどの教科を担当していたのかは明かされていないが、ドラマ版(欠番になっているが。ちなみに六星の名前も神崎になっている)においては英語を担当していた。 彼は義務教育すら受けていない可能性があるが、英語を生徒達に教えられる程の教養も備えていた事になる。ついでに狙った女子高生を本気で自分を愛するように口説き落とした凄まじいスキルも持ち合わせている。はっきり言って天才肌すぎるのだ。正直、まともな人生さえ歩めれば・・・・・と思うと悔しさすら感じる。 ここからは個人的見解になるが、六星詩織は裏の人間と何らかのつながりがあったのではないだろうか? そもそも六角村の領主達は不法な大麻の栽培で私服を肥やしていた。それはおそらく教会の一家も同じだろう。そうなると裏の人間、闇の人間と何らかの黒い繋がりがあったとしてもおかしくはない。他の村人に隠しているので栽培や販売が可能となる「大麻取扱免許」もおそらくないだろう。となると、どうやって栽培した大麻を売り捌けるのか? これは裏の社会の人間や、黒い外国グループの人間と何らかの関係があったと仮定すると違和感はない。 おそらく詩織はそういった裏社会の人間とも面識があり、27年前に自身だけ生存した後にツテを頼ってどうにか生きていけたのではないだろうか。 そして六星も言った「戸籍上死んだ事になっていた母さんは真っ当な仕事にも就けず」という台詞から、裏社会繋がりの仕事で食いつないでいったのではなかろうか。無論、あくまで推測の域を脱する事は出来ない。 だが、竜一が完璧な殺人術を身につけているのも、近くに裏社会の人間がいたという風に考えれば納得出来なくもない。 考えてみれば、六星はこの事件において様々な道具を使用している。殺人、切断の為の様々な刃物の類は勿論、六角村に行くのとトリックの為に使用したウインチ装備の車。延長コード。そもそも若葉を退学させるために使用したリモコン操作が可能なカメラ。 回想を読む限り事件時より若い段階で母親を殺していると思うので、六星はその後1人で生きていく事になった筈。つまり自分で稼ぐ必要が出てきたのだ。にも関わらず上述の殺人グッズを用意しているという事は、詩織の死後は六星が跡を継いで様々な裏社会の仕事をこなしていったのではないかと予想出来る。 また、六星は詩織殺害後について「あれから俺は何人殺しても何も感じなかった」と語っており、事件以前にも殺人を犯していたのではないかと思えるのだ。 ちょっと変わった考察になるが、後に金田一が遭遇する「異人館ホテル殺人事件」において麻薬の売人である赤ひげのサンタクロースが登場する(本物は事件前に死んでいるが)。異人館という名前、麻薬が登場するという事、金田一に近しい人間が死亡する展開、事件後の後味の悪さ等共通点がいくつかある事もあり、この赤ひげのサンタクロースは詩織と繋がりがあった裏社会の人間と関連する人物なのではないかと私は思う。 六星親子と赤ひげのサンタクロースに面識や繋がりがあるかは定かではないが、どこかでお互いの存在をチラッと知っていても不思議ではないのではないだろうか? やはり優れた悪役というのは、読者に考察の余地を与えてくれるものなのである。 cd10549a-56ba-47d6-b86b-d61817742028
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