ノーマン・スタンスフィールド(レオン)

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スタンは人を撃つシーンもどこか異常性があるのだが、ジョセフの反撃でスーツに穴が空いた場面も印象的である。 この時の、自分のスーツの穴に気付く→一瞬ジョセフ側に目をやる→吃った感じで悔しがる…という動きが、我慢出来なくなって爆発寸前!て感じがして好きな場面だ。 実際、撃たれて這いずるジョセフをスーツに空いた穴の怒りで撃ちまくっている。このいつキレるか、何でキレるか、そしてキレたら何をしだすか分からない異常性でまず視聴者の心を掴んでくるのである。 マチルダの家族はマチルダを残して全滅し、マチルダがレオンと共同生活を始める。そこがメインであり、私もそこはそこで楽しんだのだが正直スタンの再登場を心待ちしていたのは言うまでもない。 そして暫しの焦らしの後、ついにスタン再登場。ひょんな事からマチルダに警察署のオフィス番号を知られ、付け狙われる事に。 余談だがバスケットボールで遊ぶ少年のボールを奪い取るところなんか身勝手な大人っぷりが光っていてなかなか好きな場面だ。 スタンのいるオフィスを知ったマチルダはレオンに内緒で単身、乗り込む。紙袋に銃を包み、スタンがトイレに入ったのを見たマチルダは男性用トイレだというのも気にせず突入した(他の職員がいたらどうしたんだろう)。 そこで、私がこの映画で最も好きな場面が! 確かにトイレに入ったはずのスタンの姿がないのだ。そこでトイレのドアが静かに閉まり、なんと扉の陰に隠れていたスタンの姿が! ホラー映画でもないのにホラー映画らしい登場演出に恥ずかしながら本当にビビってしまった。 スタンは悪どいだけではなくカンが鋭く狡猾である。マチルダに生きていたいか?と尋ね、命を失う事を恐れたマチルダの様子を見ると、「面白くないからな...生きていたいと思わない者を殺すのは」と銃を取り出す。 この辺り、ちょっと優しめの言葉を使いながらマチルダを追い詰めるのに、最後にはそんな台詞と共に銃を取り出すものだからコイツは安心させてから絶望させるとか上げてから下げるとかが得意なんだろうなと思った。 そしてスタンはレオンが自分の部下を殺害した事を知り、レオンの雇い主であるトニーに詰問に行くのだが、なんとスタンはトニーの仕事の元締めだと発覚。しかも仮にもイタリアンマフィアのボスであるトニーを恐喝しようとするスタン(後にでてきたトニーの顔を見る限り拷問したんじゃないかと)。 もうこの辺になると映画の残り時間が少ないので、そろそろスタンとの戦いが始まるのか!?とワクワクするのだが、こんな時にも仮にも刑事のスタンが黒い仕事をしていたのがハッキリするので、この徹底的に同情の余地なしなところがむしろスタンがクライマックスに向けてどんな危険な事をやらかしてくれるのか期待させる起爆剤になるのだ。 そして最終決戦。スタンはレオンのアジトに局員を突入させるが、レオンの凄腕に突入班が手こずってしまう。 するとスタンは部下に言う。 「総動員だ...」 「総動員とは...?」 聞き直す部下に 「エッッブリウァアアアンヌッ!!(総動員だよ!!)」 最高のキレシーンだ。緊迫感を煽ると同時に、たった2人殺害するために総動員でかかろうとする卑怯さがよくあらわれている。 そしてついにレオン達のいる部屋にミサイルを撃ち込む事でやった!殺したぞ!と突入班は喜ぶのだが、さすがはレオン。うまく脱出し、突入班の服装でカモフラージュして逃げようとしていたのだった。 ところがそれを見つけたスタン!突入班をわざわざ全員撤去させた。 そして、レオンを後ろから銃でバキュン! さすがの卑怯さである!そして何がなんでも自分でレオンを殺してやろうという拘り!このやるからには徹底的と言わんばかりの彼の性分には舌を巻くほど。 というか、ここレオンの視点とスタンの視点が交互に映る演出がされていて、クライマックスなのもあって一気に引き込まれちゃうんだよね。素晴らしい演出だと思う。 そしてレオンを撃ち抜いたスタンは笑みを浮かべる。まさしく仕留めた!ってとこだろうか。 だが、レオンは瀕死ながらスタンにあるものを握らせる。そして言うのだ。 「this is... from...Matilda...」 スタンが握り拳を解くと、そこには手榴弾のピンが!劇中に出てきたリングマジックである。 視聴者もスタンもまさか!?と思ったところであわててレオンの服を広げると、体中に爆弾が。 「shit...(くそ...)」 ドカーン!!!!! …こうして、スタンは爆風に姿を消し、レオンの道連れでクズらしい最期を迎えたのだった。もうこの一連の流れが素晴らしすぎる。スタンがお亡くなりになった寂しさと(悪役が見事にしてやられた事の)爽快さと同時に、レオンが死んでしまったという虚無感を得るのは間違いなくスタンの力もあっての事だろう。 なお、多大なインパクトを残すスタンだが実は登場する時間自体は短かったりする。そもそもジョセフ殺害から40分ほどは出番がないくらいだ。 にもかかわらず、これだけの悪役ぶりを視聴者に見せつける様は見事としか言いようがない。レオンとマチルダの日常生活が嵐の前の静けさならば、スタンの登場シーンはまさに彼の愛するベートーヴェンの曲の盛り上がりそのものなのである。 そんな彼は私の中でいつまでも響き続ける「悪役」なのだ。 余談だが、彼の吹き替えは田中正彦氏と佐古正人氏と安原義人氏、山寺宏一氏の計四名が担当している。 個人的には佐古正人氏か安原義人氏の吹き替え推しだが、どなたも魅力あるスタンっぷりなので是非とも全バージョン聞いていただきたい。 a9c828d5-1171-4a64-bd49-933b0ad69d8d
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