大神博士(爆走兄弟レッツ&ゴー!!)

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大神博士登場から間もなく、部下であるバトルレーサーJとプロトセイバーJBにより、烈と豪はマシンを溶岩に落とされてしまう。豪の声優の池澤春菜氏がガチ泣きしたというシーンだ。 しかし、わざわざ土屋研究所に「見たか土屋!私のマシンの強さを!」と高笑いの様子をモニターまでしてくるお茶目さに私は釘付けだった。憎さよりかわいさを感じてしまったのである。 おそらく烈と豪は新しいマシンを手に入れてJにリベンジするであろうとは予想していたので、私はまた大神博士が出てくる事が待ち遠しかった。 その後、念願叶い(?)再び大神博士&Jは烈豪兄弟と対決。新たなマシンであるVマシンを手に入れた2人との対決だ。この時Jはプロトセイバーの空気砲でそれまでのライバルの中では最強だったリョウのトライダガーXを撃破していたため、シチュエーション的に大きな盛り上がりを見せた。 このレースは最終的に普通のレースの面白さと自分は本当はマシンを破壊したいわけではない事に気付いたJがリモコンを破壊した事により、実質大神博士の完敗に終わった。 そして彼は退場するわけだが、私としては再び大神博士が何かやらかしてくれるのを期待していたのは言うまでもない。 間もなく今度は空気の刃によって他のマシンを切り裂く凶悪マシン、ビークスパイダーと使い手の沖田カイが登場。私としては彼も好きなのだが、彼のバックに大神博士がついているというのが発覚した事から私の中では大盛り上がりであった。 余談ではあるが大神博士はでかい研究所でわざわざミニ四駆を開発しているうえに、それらのバトルマシンにはハイテク技術が詰め込まれている。もしかしたらそれらのハイテク技術を他の用途に転用して売る、提供する等して稼いでいたのかもしれない。 そしてこのビークスパイダーの活躍により、作中の一般の少年たちはバトルレースにハマりだし、車検もなくなる事で徐々に何でもありになっていく。バトルレース時代の幕開けだと大神博士自身も言ってるように、まさしく大神博士の思惑通りになったのだ。逆に、普通のレースに拘る土屋博士が発言力がなくなったり、ミニ四ファイターがやりたくもないバトルレースの宣伝をしたりとどちらかというと大神博士に追い風が吹くようになっていったのだ。 ただ、おそらくこれだけならここにわざわざ書くほど彼を気に入っていなかったかもしれない。私がなぜ彼のファンなのか? それはだんだん細かに描かれていった「大神博士の苦労人っぷり」に少し同情してしまったからかもしれない。この辺は特に大人になってから見返してみると感じやすいかもしれないのだが、とにかく部下の少年たちが言う事を聞かないのだ。 と、いうか頭が弱いゲン(ブロッケンGの使い手)はともかくカイとレイはむしろ博士を見下しているような節すらあり(マシンを提供してもらってる身でありながら明らかに勝ってるのは自分の実力と言わんばかりの態度。レイに至っては負けたら大神博士の技術不足を指摘してくる)、それぞれがやりたいように暴れるだけなので博士が指示を出しても勝手な行動をとる事が多い。最初に離反したとはいえ、Jはまだマシだったというか… まぁ後にそれぞれが世界大会で様々な国の代表等になってるのを見ると、博士のレーサーを選出する目は確かとも言えるわけだが。 他にもレイスティンガー開発の際に特殊素材ZMCの開発に四苦八苦したり(この時の大神博士を見てるとストレスで禿げたんじゃないかと思えてくる)、裏では偉そうに言っておきながら実際は鉄心先生に頭が上がらなかったりなど妙に人間臭いとこを見せるようになっていったのだ。 また、外せない場面としては烈が豪のサイクロンマグナムに勝つ為に大神博士のマシンの研究をしたいと申し出た時には異様にノリノリで研究所の中を案内したり、バトルパーツの提供をしようとしたりしていた。この時の妙に嬉しそうな大神博士は見ていると微笑ましくなってしまう。 おそらく土屋博士派だった烈が自分の研究を頼ってきたのがよほど嬉しかったのだろう。先述の通り部下達は言う事を聞かない連中ばかりなので烈みたいなタイプの子が部下になってくれれば多少気も休まるだろうし。 …まぁ結局烈はバトルマシン開発がしたかったわけではなく、土屋博士から離反したわけではないので研究所を使われた挙げ句戻っていってしまった形になるのでこの時の大神博士はかなり気の毒だったりするが。 でもそんな烈を責めたり憎んだり後まで引きずらなかったりするちょっと大人な部分を見せる大神博士のそんなとこも大好きだ。 そして徐々に力をつけていく土屋博士派に対し、どうしても勝ちたい大神博士は手に入れた発言力を生かして汚い手も使うようになっていく(まぁバトルマシン自体がそもそも卑怯なのだが)。 落選したゲンのブロッケンGを決勝大会に出場させる為にわざわざレースをひとつ設けたり、ゲンに最短のルートを教えたり… しかしゲンがレースに苦戦していると「何をしてるんだゲン!このままでは…!」とか言いながらモニターを食い入るように見たり、最終的にはモニターケーブルを引きちぎったり等憎めない悪役っぷりが目に焼き付いた。 そう、悪役なのにどこか憎めないというか、色々手を加えてるのに裏目に出たりとか、なんか見てて面白い人なのだ。 結局、無印の決勝レースでは部下の少年たちが各々スピード勝負のレースの面白さに目覚め、自分の手を加えたマシンで勝ちたいという欲求に屈した事により、それぞれ同士討ちやリタイヤが相次いだ事で大神博士作のマシンは一台も表彰台には上がれずに終わった。 鉄心先生は「大神、お前の負けじゃ」と言っているが、これは大神博士のバトルレース思考が子供たちに乗り越えられ、結局はスピード勝負の良さに負けたという事なのだろう。 考えてみれば実は土屋博士もVマシン完成後は大神博士の事をあまり相手にしていなかった。いつの間にか子供たちVS大神博士の図式が成り立っていたのである。 その子供たちにバトルレースが負けたのだ。子供を無視して大人のエゴのつまったマシンを与えたところで子供たちは満足出来ない。その結果をレースの結果と師匠の言葉から突きつけられ、放心した大神博士の姿はどこかもの悲しかった。 761106fa-72bf-45af-89ab-518188309fef
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