明神太郎(うえきの法則)

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植木は苦労しながらも新しい神器を会得していき、一度敗れたもののドンを倒す。 そして次は料理人マルコと植木の味方になる鈴子が植木を倒しに行くのだが、私としては早く明神の戦う姿が見たくてウズウズしていた。 いよいよその時がやってきたのは、マルコを倒したものの植木がダメージの蓄積により倒れてからである。 植木の相棒の天界獣テンコが治療獣という12時間入りっぱなしなら全回復できるという若干都合のいい回復装置を出し、植木を回復させる。これは途中で出ると副作用で死ぬため、12時間もの間テンコと鈴子は十団の残ったメンバーが植木に近付かないようにしなければならなくなったのだ。 テンコは植木を洞窟に隠し、その前で巨大化してバリアを張るのだが、鈴子の方は集会所に戻っていつも通り振る舞い、植木はやられた事にしてやり過ごそうと打算する。 そして集会所に戻った鈴子を迎えたのは明神だった。私がワクワクしたのは言うまでもない。 鈴子がなぜ1人なのか?と聞くと自分だけは用事があるならここに残ったと答える。えっ、用事?と鈴子が聞くと… 「ロベルト十団の裏切り者を始末するんスよぉ…」 キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━!!!!! 明神の黒い笑い顔に、私のテンションも上がってしまった。ようやく本性の一端を見せた明神は用意のいい事に鉄格子で逃げ場をなくし、鈴子に向かい合う。 あっ、きっと勝てないんだろうな…と思いながらもページをめくると場面が切り替わった。 残りの十団メンバー2人ベッキーと鬼(ちなみにこの人外国人らしい。中二だがアニメ版の声は故・大塚周夫氏)が植木抹殺のために攻撃してきたのだ。しかし、2人はテンコのバリアに歯が立たなかった。6時間も攻撃したのに傷1つつかなかったのだ。 テンコ強すぎじゃね!?と思ったのも束の間。われらが明神太郎がボロボロにして両手を縛った鈴子を連れて登場(ちょっとやらしいが、明神は中一だしそれ以上の事はきっとしてないだろう)。 自分より実力が下のベッキーと鬼を従えて人数で攻める等、悪役らしい要素を出し始めた明神。 ここでテンコは「天界獣は人間を攻撃出来ない」という掟を恐れずに明神達を襲い、直接攻撃はせずに彼等を脅す事でどうにか鈴子を救い出すのだが、私はそんな中明神がテンコにめちゃくちゃビビってる事に注目した。 「めっちゃビビってる!なんか小物臭い!」 巨大な怪獣には普通にビビる明神に若干萌えてしまった私は、明神がついに能力を使うところで更にテンションを上げた。 明神の「口笛をレーザーに変える能力」が炸裂し、うまくバリアを破る事に成功。しかもわざわざ指笛で吹いてるとこがイカす!これのせいで指笛を練習したのはきっと私だけではないと信じたい。 さて、実を言うと私は明神の「口笛をレーザーに変える能力」にはちょっとガッカリした覚えがある。なんというか、普通じゃね?と思ったのだ。 他の団員は「指輪をロケットに」「ビーズを爆弾に」「トマトをマグマに」「BB弾を隕石に」等結構凄い能力な気がしてたんだが、明神のレーザーはなんかあんまり強くなく感じたのだ。 そんな不満を持ちながら、ベッキーと鬼を瞬殺した全回復植木VS明神の戦いを見守る事になる私。しかし明神のレーザーは光速という設定にもかかわらず当たらないうえ、レーザーと神器では明らかに神器のがパワーが上等、明神には勝ち目が薄かった。一応明神にも持ち前の身軽さと身のこなしを強調する場面があったが、そもそもそれもレーザーの能力と噛み合っていないというか… とはいえ、テンコが明神の強さは八ツ星クラス(鈴子は四ツ星。鬼は五ツ星らしい)などと称するからこのままやられるわけないだろうなと思いつつ、でもなんか普通っぽいレーザーの能力でどうすんだよ…と若干明神を見限り始めてしまったのだ。 ところが、私は驚愕する。明神が「メンコを丸ノコに変える能力」を使い、反撃を始めたのだ。ここは普通に「なんで2つ能力あんの!?」とまんまと作者の狙いにハマってしまった。 どうやら明神は2人の神候補から1つずつ能力を貰い、変装して2人分エントリーしていたのだが、正直なぜ2人の神候補はそんなルール違反を犯してまで明神に賭けたのかが未だによく分からなかったりする(結局ロベルトには勝てないと判断して諦めてるし)。この時明神の才数が707だと明らかになるのだが、もしかしたら才数だけなら1番とかかもしれない。ドンも52個だったし。 さて、2つの能力を駆使して植木を追い詰める明神。丸ノコをジャンプで回避させてレーザーで撃つという反則技、そしてジワジワと的確に四肢を狙っていく戦法等、明神が隠し持っていた黒さが浮き彫りになっていった事で私はいよいよ明神を応援し始めた。 「一体どんな風にやられてくれるんだろう!?」と期待したのだ。ズッコケた方もいるかもしれないが、私は悪役に絶対負けて欲しくない!とは思わない。むしろ、北斗の拳の雑魚等がやられるシーンなんかは大好きである。わざわざ身を呈して主人公の見せ場をつくる彼等を目にむしろ「あぁ、なんて良い人達なんだろう」と思うほどである。 だからこの明神みたいなコテコテな「やられ甲斐が有る悪役」も大好きなのだ。 そんな明神は植木が避けずに盾で丸ノコを防ぐ(丸ノコは横に避けても当たるまで追ってくる)と、満身創痍のテンコと鈴子を狙って丸ノコを投げ、人質にとる。この絵に描いたような卑怯さこそが私の期待した悪役っぷりであった。 おそらくここがこのバトルのピークだろう。 その後、植木は明神の攻撃には弱点がある事を発見(植木は勉強の才を失って勉強が出来ない設定だが、おそらく金田一少年みたいにIQは高いんだと思う)。明神はルール違反にビビってこれまで丸ノコの能力を使った事がなかったため、敵の避け方がジャンプだけだと思い込んでいたのだ。 棒高跳びで遥か上空にまで飛び上がった植木に丸ノコは通用せず、上空からの神器「鉄」と明神のレーザーの撃ち合いで決着がつく事になる。 レーザーで鉄を破壊はしたが、続け様に別の神器を撃たれ、喜ぶ間もなく明神は敗北するのだった。 私としては、正直植木やロベルトの神器自体ちょっとズルい気がしてたので、明神の「人間としての」反則をついつい応援してしまったが、期待を裏切らない卑怯さと顔に似合わない本性、そしてやられっぷりを気に入ってしまい、未だに好きな悪役キャラである。 そんな明神であるが、退場した後も度々名前が出てくる。おそらくその後の能力者達の基準値だったのだろう(明神以上、明神以下みたいな)。 しかし、作者の福地翼氏はその後も番外編でロベルト十団の方々が能力を失った後の話を描いたり、コミックス最終巻の裏表紙にはそれまで出てきたキャラクター達の集合絵を描いたりしているのだが、残念な事にどちらにも明神の姿はない。 まさか作者はこのキャラクターを嫌っているんでしょうか…22608de4-62c4-4af1-b496-9cc727f57b4f
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