ジョン(酔拳2)

2/3

22人が本棚に入れています
本棚に追加
/213ページ
登場作品:酔拳2 分類:インテリメガネ…と思いきや 職業:英国領事の右腕 立ち位置:最後の敵 悪人度:A カッコよさ:A 強敵度:S 存在感:B 作品貢献度:B 演:ロー・ワイコン(ロウ・ホイクォンとも) こんな事を書くのは非常に図々しいのだが、私はジャッキー・チェンのファンである。なぜ図々しいのかというと、ファンを名乗るわりにはジャッキーの作品を全部見ていないからだ。 しかも、私の初ジャッキーは今回紹介する(のは悪役のジョンの方だが)酔拳2である。金曜ロードショーかなんかで観た。もっと凄まじいファンからすれば「おまえなんかニワカだ」と言われてもまぁ仕方ないかなと思う。何をかくそう私は酔拳2の後に酔拳1の方を見た人間なのだ。 …でもこれだけは自信をもって言える。酔拳2は名作である。そして今回紹介する悪役のジョンも、私の中では決して忘れる事のできない悪役キャラクターなのだ。 酔拳2の主な見所は多人数との激しい死闘、製鉄所での熱い戦い、そしてやはり酔拳アクション!だろう。だが勿論、ジャッキーだけが凄いわけではない。監督兼武術指南のラウ・カーリョンや、数多くの敵モブキャラの力があってこそこれらが成り立つのだ。 そして最後にたちはだかる敵であるジョンの凄まじい強さと狡猾さは、間違いなく酔拳2のラストバトルを盛り上げる要素であると言える。 酔拳2の主なストーリーは、簡単に説明するなら清朝末期の中国への列強の進出が激しい時代。フェイフォン(ジャッキー・チェンね)は父の経営する病院で使う漢方を調達するため父と家臣と三人で電車で出かけていた。特定の高額な荷物を電車で運ぶ際は荷物を預けて高額な税金を払うことになっており、彼らの持つ薬用人参がそれに該当していた。父は人参を預けるよう言うが、フェイフォンはとある方法でこっそり人参を密輸しようとする。 一方、世間では英国領事と周辺の住民との対立が進んでおり、製鉄工場の乗っ取りや地主の所有する土地の地上げ、そして国家全体に関わるある凶悪な計画が進められていた…という内容。 私は前述の通り1の方を後に見たのだが、2作を見比べると2の方はやや暗めの内容となっている。作中においてフェイフォンはどちらかといえば足を引っ張るような展開が多く、基本的にはやることが裏目に出て辛い目にあうというか。 で、この作品の主な敵役としては英国領事とその手下達なのだが、英国領事は諸悪の根源ではあるがほとんど活躍しないので、フェイフォンが戦う敵としては英国領事の右腕ジョンとその部下ヘンリーとその他大勢の雑魚達というわけだ。 ただ、酔拳1の時の敵役である閻鉄心のような「明らかに武術家!」みたいな風貌な敵役はおらず、酔拳1を未見の時の幼い私ですら「なんか敵があんまり大した事なさそう」と思ってしまった。 中盤にてジョンの手下のヘンリーがフェイフォンと戦うが、酔拳を発動させたフェイフォンの凄まじい猛攻に数人がかりで返り討ちにあい、逃亡までしていた。そんなヘンリーがそれなりに偉いポジションだという事もあり、底が見えてしまったのである。 あと個人的に、ジョンとヘンリーは普段はスーツ姿なのもマイナス評価であった。やはり強そうに見えないのだ。 やはりガキんちょの頃は単純で、敵役の中では明らかに強そうである鎖使いの男(まさに外国人って感じの見るからに強そうな人)が敵で最強だなと思ってしまい、コイツがやられた後は「これからどうするんだろ」と思ったものだ。 ところが、終盤にて私の予想は裏切られる事になる。序盤からフェイフォンにかなわなかったヘンリーはともかく、ジョンが酔拳未使用のシラフのフェイフォンをボコボコにしだしたのだ。 私としては勝手にこのジョンとヘンリーは適当にやられて、その後になんか隠し玉があると思っていた。 なんというかこのジョンという男、知略をふるうバリバリのインテリキャラであり、メガネをかけている事から愚かにも私は勝手に弱いイメージを抱いてしまったのである。しかもフェイフォンと戦うまでは部下に「やれ!」みたいな感じで命令したり、雑魚達と戦うフェイフォンに横槍を入れたり等何となく小物臭を感じたのも大きい。 ところが実際にフェイフォンと戦闘開始すると、凄まじい足さばきで魅せる!彼が戦闘中に見せた凄まじい体勢、通称「I字バランス」には魅了された者も少なからずいるのではなかろうか? そしてフェイントも織り交ぜた足技をガードするのがやっとのフェイフォンの返し技を封じ、顎で目潰ししてくる卑劣さ! 戦闘の前半は本当にフェイフォンはやられてばかりなのである。この予想外の展開に幼い私は手に汗握ったのは言うまでもない。 更に、ジョンはただ強いだけでなくヘンリーと異様に連携が取れてるのだ。ヘンリーはどうにか反撃しようとするフェイフォンを熱した鉄棒で攻撃してジョンを援護したり、攻撃に参加したりする。 そしてジョンはと言うとただ冷酷なだけでなく、フェイフォンが工業用アルコールを使った火炎放射をヘンリーに浴びせた際には必死で火を止めに行っている。 この「凄い悪人で、かつ知略を巡らせてくるような嫌なヤツ」が、実は「戦うとめちゃくちゃ強いうえに相棒にはめちゃくちゃ優しい」というギャップに私はやられてしまったのである。 それとジョンがフェイフォンを燃える床に突き落としたシーン。ジョンが親指を立てていて(d('∀'*)←こんなポーズね)ちょっと萌えてしまった。どうやらこれは撮影中に「うまくいった!」って事で思わずグッドポーズしてしまい、それが映りこんだらしいのだが、敢えてこれをNGにせずに敢行した事に私もグッドポーズを送りたい。 さて、ジョンの魅力はそれだけではない。この映画は「酔拳」である。 追い詰められたフェイフォンは工業用アルコールを飲み、そのアルコールで酔拳を発動させる。ジャッキーが逆立ちして顔を赤くしてから撮影に臨んだのが見えるほど、赤い顔で酔いを表現。惜しげのない奇抜なカンフーアクションがジョンを襲う! そう、ジョンはこれまで凄まじい強さを見せていたからこそ、工業用アルコールという禁忌を使用してまでドーピングしたフェイフォンの凄まじい強さが際立つのである。 フェイフォンVSジョン戦は段階があり、 序→ジョンの凄まじい強さとヘンリーとの連携の卑怯さで追い詰められる 中→工業用アルコールで反撃。ヘンリーを瞬殺し、ジョンも驚かせるがある程度互角の戦いが繰り広げられる 終→フェイフォン狂ったが如くのアクションの連続技でジョンなすすべもなく(最後の方は木の椅子やドラム缶も使用する)ボコられる こう分ける事が出来る。 終盤は本当にフェイフォンことジャッキーの惜しげなく繰り広げられる酔拳アクションでジョンはまさにサンドバッグ同然なのだが、序盤の凄まじさがあるからこそ視聴者はスカッとするのだ。 やられ方も一級品というのは良い悪役の条件のひとつでもあると思う。そういった意味ではこのジョンは色んな意味で一級品の「悪役」と言えるだろう。 この酔拳2のオチは、本国で公開された版ではフェイフォンは工業用アルコールを服用したせいで盲目+頭がダメになってくるくるぱーというブラックなオチなのだが、逆に言えばジョンはそこまでしないと勝てなかった相手であり、数あるジャッキー映画の中でも難敵に位置するのではないだろうか? 余談だが、ジョンの吹き替えは田中正彦版と大塚芳忠版がある。私は断然芳忠版派で、名言集も芳忠版に準ずる物を選出させていただく。 芳忠版が好きすぎて、私は酔拳2のDVDを購入しようかと思った際に芳忠版が収録されていない事が発覚して購入をやめたほどなのだが、なんとBD版には両バージョンが収録されているらしい。皆さんも機会があれば聴き比べてみてはいかがだろうか? c25de5f8-3955-4772-ab5b-8432d05d1c31
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加