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登場作品:金色のガッシュ!!
分類:バカだが強い、愛すべきバカ
職業:千年前の魔物、メロン農家
立ち位置:千年前の魔物編敵キャラクター
悪人度:D
カッコよさ:V(A相当という事で)
強敵度:B
存在感:B
作品貢献度:C
演:若本規夫
私が金色のガッシュ!!を読み始めたのは中学時代だったりする。その頃にはもうアニメ版が数話だけ放映されていて、その数話で興味が出たという流れだ。
この作品は基本的には100人の魔物の子供達が魔本を持って魔界から人間界に送り込まれ、選ばれた人間のパートナーと一緒に他の魔物と戦い(魔本を燃やされるとその魔物は魔界に強制送還)、最後まで勝ち残ったら優勝!次の魔界の王決定!というルールの下で展開していく。
そしてこの作品は大きく四編に分ける事が出来ると思う。それは「魔物達とのバトル編」「千年前の魔物編」「ファウード編」「クリアノート編」といった具合にだ。
今回紹介するのは二つ目にあたる「千年前の魔物編」に登場するビクトリームというキャラクターなのだが、このエッセイにしては珍しくボス的キャラクターではない。その章における区切りのキャラクターですらない、どちらかといえば「ちょっと強いモブ」みたいなキャラクターである。
また、悪役というほど悪い、外道なキャラでもないので、若干このエッセイに載せるかは迷ったりもした。
だがこのキャラクター、非常に人気があるキャラクターである。これは作者の雷句誠氏も予想していなかったらしい。
先述の通り、私が中学時代の作品なのだが、当時私が塾に通っていた頃のこぼれ話がある。私はあまり真面目な方ではなかったので、塾に普通に漫画を持って行っていたのだが、よく話していたK君も漫画を持ってきていた(鋼の錬金術師やケロロ軍曹)のでよく交換して読みあっていたのだ。
そして私はガッシュも持っていったのだが、最初はあまりK君も乗り気じゃないというか、絵柄のせいなのかあまり期待せずに読んでいたのである。それは話が進んでも、読みはするがあまり作品を褒めないというか「面白い」とは言わなかったのだ。
ところが、このビクトリームが登場する13巻を持っていった時の事である。なんとガッシュを読んで笑う事がなかったK君が珍しく爆笑したのだ。
しかもビクトリーム登場は当時はこの13巻のみだったのだが、16巻くらいを読み終わった後にK君が
「頼む、もう1回13巻を持ってきてくれ。ビクトリーム様の勇姿が見たいんだ」
とリクエストまでしてきたのである。
こういったビクトリーム様に惹かれた人は私やK君だけでなく、様々な読者がビクトリーム様を崇拝していた。
単行本には最後の方に「魔物デザインコンテスト」というのがあり、雷句誠氏が読者から魔物のデザインイラストを募集していたのだが、そこに「ワイトリーム」「エクストリーム」「ユートリーム」等のビクトリームのVの字を別のアルファベットに変えたようないわゆるビクトリームの変形魔物のデザインが殺到したのだ。
これを若干渋く思ったのか、雷句誠氏が単行本のあとがきで「そんなにビクトリームが好きなら『ビクトリームを復活させてください』というハガキが1000通以上来たら、ヤツの復活を考えてやろう」というミニ漫画を描いてしまった。
おそらく、さすがにすぐにはそんなハガキこないだろうと思ったのだろうが、なんと早いうちに3000通以上のハガキが届いてしまったのだった。
つまり、全国に少なくとも3000人以上のファンがいるという事なのである。
なぜこんなにもビクトリームが人気なのか?
おそらく子供でも落書き、模写しやすい優れたデザインもその要素だろう。だが、やはり何よりもその「面白さ」が要因であるのは間違いない。
ビクトリームはガッシュ一行が千年前の魔物を復活させ、使役するゾフィスのアジトに乗り込んでからの2回目に遭遇した魔物だ。その前に三組の魔物と戦っていた一行はいわゆるエネルギー切れ状態であり、この時なら数人がかりでガッシュ一行を倒せていた可能性もあるのにビクトリームは果敢にもたった1人で挑んでくる。
だが、登場の仕方は「ビクトリーム!」と叫びながら入ってくるも、ガッシュ一行は自分らが巻き起こしたドタバタに夢中で気付かないので無視されたビクトリームが怒り心頭になるというユルい登場であり、状況的にはシリアスな一行と展開をまるで緩めてくれる為に出てきたかのようだった(それまで出てきた千年前の魔物はどことなく冷たい雰囲気の魔物が多く、読者に「こんなやつもいるのか!」と思わせる役割を担ったとも言える)。
ビクトリームは呪文なしで分離したり(ちなみに分離した体はVの字の体勢を保つ。特に意味は無い)、最大呪文の半分の威力で当時のガッシュの最強呪文を一方的に撃ち破る等、強敵と言える描写が多々あった。
が、自分の呪文で自分の分離した体を撃ったり、分離した体を袋叩きにされてダメージを受けたり、呪文の効果で光った股間に石を投げられたり等度々コミカルな描写が入り、それが読者の笑いのツボを刺激してくるのである。
ガッシュのパートナー清麿も「バカだが強い」と分析している。
そう、ビクトリームはガッシュ達だけではなく、読者とも戦っていたと言ってもいい(いわゆるプロレス理論)。
ビクトリームは読者へ挑戦し、そして見事勝利した事になる(勿論、ガッシュ達には敗北して魔界に帰ったが)。その結果、先述の通りビクトリーム復活という事でガッシュのガイドブックである「まるかじりブック2」限定ではあるがビクトリームの漫画が掲載された。これらの漫画はちゃんとアニメ版においてもアニメ化されている。
また、「まるかじりブック2」にはビクトリームソングという読者から送られてきたビクトリームのテーマソングがいくつか掲載されており、読者人気とそれに応えようとする制作陣の特別扱いが見てとれる。
ちなみに最近ではガッシュの完全版が出たが、6巻には他の魔物を差し置いてビクトリームとパートナーのモヒカン・エースが表紙になっている。やはり雷句氏もビクトリーム様の読者人気を意識せざるを得なかったのだ。
そして物語終盤。「クリアノート編」にて完全体となったクリアと戦うガッシュに、これまで味方してくれた魔物達が力を貸してくれる場面になっていく。
そんな中、あくまで作中では敵で終わったハズのビクトリームがなんとガッシュに力を貸す形で再登場した。相変わらずの華麗なVっぷりとメロンへの愛を披露し、その自由っぷりに読者を感激させていった。
この際、ガッシュにメロンの種を持ち帰るよう頼んだが、ガッシュはちゃんとメロンの種を持って帰ってあげたらしく、自分の育てているメロンの芽を見て喜ぶビクトリームの姿が確認できる。
このビクトリーム様の嬉しそうな笑顔が物語を締めくくる感動に一役買っていると思うのはきっと私の思いすごしではないはずだ。
ちなみにガッシュの千年前の魔物編以降のゲーム作品には大体ビクトリーム様が登場する。GBA版「友情のザケル2」ではプレイアブルキャラというだけでなく、4つあるミニゲームのうち2つの主役になっており、かなり優遇されている。
また、ビクトリーム様のテーマソング「ベリーメロン」はビクトリーム役の若本規夫氏だけでなくその他の声優陣も歌っている名曲だ。
なんと一部カラオケにはちゃんと映像も入っている。きっとカラオケで歌った事があるのは私だけではないはずだ。
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