フリーザ(ドラゴンボール)

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さて、フリーザが根っからの悪役タイプだという事は前ページで書かせていただいたのだが、ここからは彼の悪役っぷりについてとどの辺が好きなのかを書いていこうかと思う。 おそらく彼については多くの先駆者が語っていると思うのだが、やはり根本にある部分としては「大ボス」という立場が影響を与えているのではないかと思う。 ドラゴンボールという漫画は初期は主人公の悟空はまだ少年で、出自は謎のままストーリーが進んでいった。彼が大人になり、息子が産まれた後にようやく彼はサイヤ人という異星人である事が明かされ、舞台も宇宙へと移っていくわけだ。 まずは兄ラディッツや後のライバルキャラとなるベジータ等のサイヤ人から地球を守る為に戦う事になるが、やがてベジータさえも恐れている存在であるフリーザが物語の舞台に登場。こうしてサイヤ人襲来から続くいうなれば「宇宙編」の最終ボスとして君臨するわけだ。 サイヤ人襲来とナメック星編を分けて考える方もいるとは思うが個人的には筆者はラディッツ登場から悟空が超サイヤ人に覚醒してフリーザを打ち負かすまでを1章と考えているので、個人的な意見になってしまうが非常に長い1章のラスボスという形に映るため、壮大なボスキャラに見えるというのがフリーザの魅力のひとつではないかと思う。 余談ではあるが作者の鳥山明氏はフリーザの名前の由来を「食品(この頃の敵キャラは全て野菜や乳製品、果物から名前をつけられている)全てを統括するボスという意味を込めて冷蔵庫からとろうとしたが、英語にするとダサいので冷凍庫の英語名のフリーザにした」と言っている。 一言で言うなら「存在感が魅力」という事だ。確かに強さだけで語るなら後に出てきたセルやブウの方が圧倒的に上だろうが、その存在感はフリーザが両者を圧倒している。 強さという概念を見たとしても、その後はともかくこの時は何度も読者、視聴者に絶望感を与えるものであるため、彼が君臨していた時期は間違いなく強すぎ!という印象を与えるだろう。 基本的にフリーザはダメージはちゃんと受けるのも強さのインパクトを与えやすいのではないかと私は思う。 どういう事かというと、最近の作品でありがちな「何でも無効にしちゃう便利な能力」とか「無敵のバリア」とかを使っていないという事だ。悟空が20倍界王拳を使用した時も、まったくダメージを受けていないわけではなく「少しは効いた」状態だった。だが、個人的にはこういった「少しは効いてる」描写が絶望感や緊張感を煽るのに成功していると感じた。 他の魅力としてはやはりその独特なキャラクターだろう。部下にすら敬語で話し、常に冷静に見える態度。そしてオカマ口調には謎の強キャラっぽさが見える。 おそらく下級兵であるアプールの名前や、ベジータはともかくナッパやラディッツの名前も全て記憶している辺り自軍の構成等も見事に把握しているうえに基本的には判断力に優れている事からただのバーサーカーキャラでない事もうかがえるのだ。 また、個人差があるかもしれないが、自分の思惑通りにいかなかったり追い詰められたりするとメッキが剥がれ、荒々しい口調になったり怒りを顕にしたりするフリーザだが、私的にはこの辺りも好きだ。これに関しては小物に見えるため好き嫌いが分かれるとは思うが、「金色のガッシュ!!」や「鬼滅の刃」等にもこういったケースのキャラクターが登場する事を考えると間違いなく後世に影響を与えたといって良いと思う。 特にフリーザは劣勢になると一人称が変わり口調も荒々しく変化というだけでなく 、死にかけると命乞いをし、更には背を向けて去ろうとする悟空に攻撃を仕掛けてまでいる。 汚いという印象がデカいと思われるだろうが、こういった汚さも悪役としては必要な要素であろう。 余談ではあるが、「ドラゴンクエストⅤ」に登場するゲマはフリーザをモデルにしているといわれている。 番外的な魅力にはなるが、担当声優の中尾隆聖氏の熱演も要素のひとつと言っていい。フリーザの形態ごとの演技の違いは素晴らしいの一言。中尾隆聖氏は他にもばいきんまんやNHKのキャラクター等幅広い役を演じておられるが、悪役が光る声優として知られているのは間違いなくフリーザを演じた事が影響されていると思う。 (個人的には映画名探偵コナン二作目の沢木公平役が好き。格好、顔付きに変化がないのにあの狂っていく様子が浮き彫りになっていくのは中尾氏の熱演あってこそ) 存在感、独特なキャラクター性、確かな強さや絶望感、いざという時の卑怯さ、役者の熱演・・・・・悪役としては申し分ない魅力の持ち主であると総括する事は決して過大評価ではないだろう。 残念な点としては、これだけ完成された悪役がトランクスの引き立て役として出番を終えた事だろうか。個人的には、ナメック星と共に運命を共にする最期でも良かったのではないかと思う。 また、最近ではフリーザが新作アニメ等で味方になったりしているのも少々残念なポイントである。 魅力的な悪役は、なかなかおさまるところも落ち着かないといったところだろうか。 a9dd62dd-3945-417e-a210-f77c26f01574
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