1.胎動

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目を開けるとそこには、赤 いいえ、白 どちらともつかない世界が目の前にあって、一本の筋がゆらゆらと目の前を揺れていた。 ぼんやりとした視界の中で、時に何も聞こえない世界の中で、私はまた眠りへと落ちていく。 目を開けるとそこにあった赤とも白ともつかない世界の表現はわたしがわたしであることを知ってから後付けのように思い起こしただけだ、きっと、そう。 わたしは、まだわたしのことを知らない。
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