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――…
そうして、僕の寝床は完全な棲み処となった。
管理をしてくれる者も、手入れをしてくれる者もいない。
ツギハギだらけの体は模様としてのものではなく本当にツギハギだったようで、縫い目がほつれて裂けてきている。
足元で微々たる動きを見せていた蝉が、ついに力尽きたようだ。
地中で長年を過ごして、出てきた途端早々に命を落とす。まるで、死ぬためだけに生まれてきたような宿命。
…僕とは少しちがうな。
僕は、笑われて、殺すためだけに作られた。
その命をそれでも精一杯振り絞って闘う彼らとは雲泥の差だ。
このコントラストは、ちっとも美しくないな。
自分を嘲笑するしかないというのに、笑うための口が僕にはない。
いや、常に歪に笑っているか。この口は、僕の最期にぴったりだ。
“鮮血のピエロ”はもういない。
クラウン―道化師―の中でも、ひと際、馬鹿にされあざ笑われる役目のピエロ。
僕の特技は、まるでうっかりドジをして、そうして笑いを取るピエロ。
うっかり動かなくなった体。
バカ高い入場料で観客を餌にした代償に路頭に迷って笑い者になった団員すべて。
そう、僕らにお似合いの、これが本当のピエロの末路。
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