#1 美羽

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大学2年の夏休みにアルバイトをしようと思った。 一般教養のテストがすべて終了し、後は専門科目のレポートがいくつか残っていて締め切りはもうちょっと後だ。だけど、8割方終わらせてある。 みっちり四コマまでテストがあったから、外は夏真っ盛りだというのに日が陰ってきている。冷房の効いた教室から出るのはためらわれたが、みんな帰り支度をして教室を出ていき、私と残り数人になってしまった。他学部の女の子三人が夏休みの集中講義について話していた。 伸びをして、気合を入れ、カバンを手に取って立ち上がった。 サンダルを履いた足の先は、冷気にさらされて少し冷たくなっている。どのみち、講義棟の外に出たら、昼の間に熱されたコンクリートの上を歩かなくてはならない。 学生生協の前を通った時に、フリーペーパーがおいてあるコーナーが目についた。 大学生活にも慣れ、長すぎる夏休みを迎える前に、何かしようか。 求人雑誌を学生生協からアパートに持ち帰り、なんとなく目を通す。 歩いて帰ってきている間に喉がカラカラになってしまった。冷蔵庫から水を出して、コップについだ。 水を飲みながら、アルバイトの条件を注意深く吟味する。
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