#2 美羽

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あまり思い出したくない中学生のころの映像が、フラッシュバックする。 それと同時に、胸が縛り付けられるように苦しくなる。 私は、中二の三学期、いじめられていた。 そして、最後の2週間、学校に行けなかった。 私がいじめられるきっかけとなった男子グループに彼はいた。 彼も主犯格の男子と同じように、辛い言葉を私に浴びせた。 その言葉は今でも覚えている… 視界がぐらりと揺れた。 どうしてここにいるの? 怖い。 どうしよう。 「…ちゃん!!美羽ちゃん!」 隣にいた日高汐里ちゃんが私の顔を覗き込んでいる。 「どうかした?」 「ご、ごめん!何でもないよ!」 「今から、接客のシュミレーションするんだって」 「そ、そうなんだ。」 笑顔を作ろうとするが、ひきつってしまう。 こっそり深呼吸し、気持ちを落ち着けようとした。 研修が終わり、なごんだ雰囲気がホールに漂った。なんとか研修は終えられた。一生懸命メモをとったものを眺めた。そんなに難しい内容ではなかったので、帰って復習したらやっていけそうではある。 「君たち、帝都大なんだね。俺は池崎。よろしくね~」 軽いノリで話しかけてきたのは、最初に自己紹介した男性。女の子の中でも背が高い方の私が見上げるほど、背が高かった。 私と汐里ちゃんは笑顔で応えた。 「ちょっと、こんなところナンパしてるんじゃないわよ!!」 美しい黒髪と美しい顔、おまけにスタイル抜群の色気を放った女性が池崎さんに突っ込む。 「うわ!!怖いお姉さんが来た。」 「こいつ、ちょっとチャラいから気を付けてね。私は、鷺沼ゆう子。名前で呼んでくれると嬉しいな。よろしくね!!」 さばさばと竹を割ったような性格が全面にでているような美しい顔で美女が笑う。 研修のときにも美人な人がいるなと思っていたら、間近で見たほうがもっと美しかった。女の私から見ても、ドギマギするほどの色気。きっと男性からすごくモテるだろうなと思った。 「せっかく仲良くなろうと思ったのに・・・」 池崎さんは、わざとらしく肩を落としていた。見た目の軽さより、そんなに悪い人ではないのかもしれない。 この二人は有名私立大学の3年生って言ってたっけ。 明るいキャラクターに心がほぐれる。
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