第1章

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彼の部下として働く日々は、楽しくて刺激的で充実していた。 やり手で厳しいと評判の彼が、実は情熱の塊で感激屋でそそっかしくて、口は悪いが笑うとメガネの奥の目がなくなって可愛らしくなることを知った。 そんな彼の下で働くことは、私の誇りだった。 尊敬する上司に、特別な思いを抱きはじめたのはいつからだろう。 もう覚えてはいない。きっと、なんの変哲もない小さなことだったのだ。 けれども、特別な思いが膨らむのは早かった。 昨日までは何も感じなかった言葉に、勝手に意味を持たせてしまう。 目に止めなかった仕草に、心臓が暴走する。 名前を呼ばれると、泣きそうになって返事の声が震える。 特別な思いは恋だと認めるしかなかった。
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