第1章

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仕事が恋人と言う上司に、この気持ちを打ち明ける勇気などない。 今の関係が壊れてしまうのが怖いから。 教えがいのある頼りになる部下という特別な位置は、私にとっては勲章のようなものだ。 告白などして、特別な位置を失いたくない。 その上司の海外勤務が決まり、目の前が真っ暗になった。 朝の挨拶も、仕事の打ち合わせも、残業も、接待も、打ち上げも、全てがなくなってしまう。そんな毎日に耐えられるはずがない! 私はどうしたらいいのだろう。 全ての人がおめでとうと祝福している。私も部下として、おめでとうございますと告げた。 その時、心が砕ける音がしたけれど、笑顔で貫き通した。
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