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アイが帰宅すると、まっすぐミス・ラムに帰宅の挨拶をする。殊勝でよろしい。
しかし、主人の元に真っ直ぐ戻って来ない時は流石のミス・ラムでも許すことは出来ない。
そう言う時は心を鬼にして叱るのだ。ミス・ラムは高貴な身分ゆえ、礼節を重んじるのである。
召使い達も食事を終えると、何処かゆっくりとした時間が流れる。
ミス・ラム自ら召使い達と遊んであげたり、話し相手を務めたりする時間である。
時々、アイは感激のあまりミス・ラムに顔を埋める様にして喜ぶである。非常に迷惑な話ではあるが、愛情の発露と思えばこちらも邪険にするわけにもいかない。
ミス・ラムも甘噛みで愛情を返すのだった。
そうこうしているうちに夜も更けて、眠りにつく時間になった。
ふと窓を見ると外はシトシトと雨が降り始めてた。
アイを見ると既にベッドに入っている。
ミス・ラムはアイと一緒に寝てあげる事にした。
決して寒いからではない。寒さに震えているであろうアイを労ってあげようという、ミス・ラムの召使いに対する優しさである。
断じてミス・ラムが寒いからではない。大切な事なので誤解せぬように。
「今日は一緒に寝てあげましょう」
そう言って、アイのベッドに上がったミス・ラムはアイの体温で仄かに温もり始めたベッドの中で
"この季節はアイの体温を感じながら眠るのも悪くはない"
そう思いながら、眠りにつくのであった。
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