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それは、小さな“舞台”の上で、まるで、まな板の上でピッチピッチと飛び跳ねる、活きのいい魚のようであり、何か宗教じみた、不思議な舞のようで、熱さで自身の皮膚が爛れつつあるのも忘れ、思わず魅入っていた。
「その身を焦がすほどの愛の舞……踊れ……踊れ……」
逃げる事を忘れ、その狂ったような惨事に憑りつかれたかのように、そう呟いた後、クックックと喉を鳴らしながら、奇妙な笑い声が漏れる。
二つの影を呑み込んだ、赤い波は、既に足元まで及んでいた。
バチバチバチッ!
ガッターーーン!
激しい音と共に大きな絶叫と、一際大きい野獣の雄叫びが、長く長く響き渡る。
それを、嬉々として、自らの一部にするかのように、丸呑みにする毒々しい炎の津波が暴れ狂う。
グォォォォォォォッ
野獣の咆哮とも、炎の怒号ともつかぬ音が尾を引いたかと思うと、突然途切れた。
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