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暗闇
目を開けると、そこには、水があった。いや、あったと言うのは間違いだ。実際は水を感じた、というのが正しい。暗闇の中、目を開けると、ヒヤリと冷たい感触と、目尻が染みる感じがしたから、水だと思ったのだ。
見開いた目。
その前には闇しか映らない。
そうなってから何年が過ぎただろう。
いきなり目の前に帳〈とばり〉が降りた。
瞬きをしても闇は明けない。
吐き気と目眩。
それよりも暗闇の方が恐ろしかった。
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