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教室には、ぼくと同じように席についた、三十人くらいの生徒がいた。それぞれ、金ボタンのついたブレザーを着ている。挙手するものがいないか眺めていると、女生徒が一人もいないことに改めて気がついた。
最初に手を挙げたのは、〈カネダ〉とネームされた、体格のいい長髪の生徒。
「武器はどんなのが?」
そう発言したとき、彼の頭上に表示された〈カネダ〉というネームが、暗いグレーから青に点滅した。
「一律、〈ガン〉を支給します。〈マーズ〉一体につき、二発当てれば撃破です」
つぎに質問したのは、眼鏡をかけた、一見して賢そうな〈タミヤ〉。
「クリア条件は?」
「いい質問ね」
〈先生〉は艶っぽく笑った。
「クリア条件はふたつ。ひとつめは、〈マーズ〉の殲滅。相手はこちら全体の同数いるし、一部を撃破しても翌日には復活しているから、このカリキュラムが始まって以来、達成した組はいません。
もうひとつは、七日間を耐えきること。戦闘で撃破されても翌日に復活するのは、みなさんも同じです。だからといって、気を抜かないように。痛みは感じます」
テンポよく進んでいくアセンブリだが、まるで耳に入ってこない。
「はぁい」
ふざけたような声でそういったのは、〈マサミ〉。着崩したシャツの襟をいじりながら、だるそうに質問した。
「指揮とか、戦略とか、そーいうのはどうするんすか?」
〈先生〉は、マサミの態度を意に介さず、きびきびと回答した。
「初日はわたしが指揮をとります。二日目からは、みなさんが自分で考えて決めてください。どうすれば、もっとも効率よく勝利することができるのか。忘れないように。これは、あなたたちの戦争です」
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