にゃあ

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 青い空。白い雲。砂浜や水着ではなく、乾いた縁側。  じゃれ合う、猫と人間。  「新しい大統領、決まったなぁ」  「にゃー、にゃー」  人間と猫でするには、あまりふさしくない会話のネタ。  「やっぱ日本にも影響あるんかなぁ」  「にゃー、にゃー」  のんびりと、休日の昼間は過ぎていく。  「そういえば俺、シャルロットさんに告白することにしたよ」  「にゃー、にゃー」  顔を赤らめて報告するが、しかし彼にはそれはわからない。  「応援してくれよ?」  「にゃー、にゃー」  のんきに、相槌。それでも満足。  「ありがとなぁ。国の違いなんて関係ないよなぁ」  「にゃー、にゃー」  少し冷たい風が吹き、秋が近いことを知らせる。  「お前もがんばれよ。いつまでも独り身じゃ寂しいだろ?」  「にゃー、にゃー」  ふっ、と。強い風が吹いた。今日は気温が、少し低い。  「……お前とちゃんと話せたらもっと楽しいのになぁ」  「にゃー、にゃー」  青い空も、もう中に入れ、と言っている。  「……人間って猫と遊ぶ時、いつも『にゃー』しか言わないもんなぁ。それ、人間の言葉に直すと『まつ毛』だぞ?」  「にゃー、にゃー」  天気の良い昼下がり。  猫と人間がじゃれ合う、今日この頃。
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