第2話 惹かれしもの

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第2話 惹かれしもの

━━疲れた……もうイヤだ…… すべてに疲れた……希望なんてないのよ━━ 無意識に歩いていた先に現れた古ぼけた、時代に取り残されたようなアパート。柱には錆が目立つ。 吸い寄せられるまま、ある一室のドアノブに触れる。……鍵は掛かっていなかった。 開くと、ふわっと風が通り過ぎる。 その部屋もまた古めかしい。色褪せた畳に紐で括られた本が無造作に積まれ、唯一の机は文机。 その上に、一冊の本だけが置かれていた。 思わず手に取る。優しく脆い肌触り。やぶらないよう、丁寧に開く。 そこには、ちょっと古めかしい文体の人が書いた柔らかい文字が綴られていた。 昔の文体ではあっても、平安時代などの古典的なものではない。 ゆっくりと頭の中で反復しながら、読んでいく。
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