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第1話 天使に出逢ふ
━━私は今日も誰に読まれるとも思えぬ物を書く
寂れたアパートの一室に、束ねただけの冊子やら、書き散らした紙が散乱している。
家具などはなく、文机が一つあるばかり。
それに向かひ、書き散らす日々。
人と交わることもせず、歌会には誘われることもない。
私は人が煩わしいのだ。
誰かと共におる位ならば、一人がいゝと思ふ。
怠惰な日々を只々を貪り続ける。
そんな私の元に、天使が舞い降りた。
「……こんにちは。あなたの描く世界が好きなんです。その世界を知りたくて来てしまいました。」
光の悪戯か、臼盆槍とした面差し。
私の世界?私の作品は自費出版で、数もあまりなく、読まれることなどあまりない。
優しい春の日差しのような、涼やかな声が人嫌いの私の心に響ひた。
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