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━━彼がいたのは、大正末期?昭和初期?昭和中期?
あの頃は、心が自由で物には不自由していた。
今は心が不自由で物が溢れている。
どちらが幸せなんだろう。
ううん、どちらがなんてない。どちらもおなじ。
自由であろうと無かろうと、満たされない思いは変わらない。
世に出た文豪と呼ばれる人たちも、埋もれてしまった人たちも、いくら吐き出しても満たされない思いに苛まされていた。
だから神経を患い、体にまで浸透して若くして亡くなっている人が多い。
今でこそ医療は発達しているけれど、あの頃はそんなものはなく、死を待つしかなかった。
短い余生の中で必死にもがいていた。
今の私たちはどうだろう。
彼らに比べたら物理的には充実していて、甘いような感覚にもなる。
現代は表現さえも規制を受け、肩身が狭い。
危険なシーンはオブラートになり、子どもへの負担を減らす傾向になっている。
だからこそ、現代でも神経を患う人が絶えない。
思いの丈を叫べたかの時代の方が幸せとさえ思える。
ただ怠惰に生きるよりはずっとマシ、と。
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