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夜になると視界が暗くなり、すぐにまた明るくなる。これには違和感を覚えた。
それ以外は何もない。ただ過ぎ去る日々が緩く、早送りであるかのような感覚。
私はやることがないと、彼を見つめることが多くなった。穏やかな気分になれる時間。
すべてを忘れて、ずっとこうしていたい……。
けれど、夜がくればハッとする。
そんな日々に変化をもたらしたのは、まさかの彼だった。
ふいにこちらに向く。またも、夕陽が邪魔をして、はっきり風貌が見えない。
「私と一緒になってくれまいか。」
私は確かに彼に惹かれていた。でも、それは受けてはならないプロポーズ。夢だからいい、そうは思えなかった。今受けてしまったら、何かが変わってしまいそうで。
「私は、あなたが、あなたが見ている世界が好きなんです。……あなたにただ逢いたかっただけ、なんです。」
苦し紛れの応え。応えになっていないことはわかっている。でも、今の私の精一杯だった。
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